決められないとき
父が亡くなる前に入院し、元気で母の食事の世話までもしていた父
が急激に衰え、食事も出来ない状態になりました。
数週間は点滴で持ちこたえていましたが、このままの状態が続けば
栄養状態が悪くなり亡くなることになると医師から宣告されました。
このまま点滴を続けて死を待つ、胃までチューブを入れて流動食を
入れる胃ろうという方法、中心静脈栄養法のいずれかを2、3日で
選択するように医師から言われました。
ただ点滴を続ける選択することは、父の生死を自分が決めることで
とても出来ないと思いました。
しかし、その後の検査で胃ろうは過去の胃の腫瘍摘出で胃の手術を
しているために出来ない事が分かり点滴か中心静脈栄養法かの選択
になりましたが、入院している公立の総合病院には3ヶ月しか入院
できなく、現在の制度では中心静脈栄養法を行うと医療行為になる
ので、老人ホームなどの施設には入所出来ないばかりか、私立の病
院でも入院することが難しいことがわかりました。
兄弟や親族に相談しましたが、「あなたに任せるから好きなように
していい」と言われ、ますます結論が出せなくなりましたが、タイ
ムリミットは近づくし頭の中は決められずに行ったり来たりで結論
を出すことが出来ませんでした。考え疲れてどうしようもなくなっ
たとき、心の中で「決めなければいい」と声が聞こえた気がしまし
た。
そうか決められないことを決めようとするから決められないのだ、
神様でもないし父に死刑宣告は出来ないのだから、どうなるか分か
らないけれど、とりあえず結論を引き延ばす意味で中心静脈栄養法
を選択しました。
その後、ソーシャルワーカーの方の助けもあって転院先も決まり転
院をしましたが、転院直後に肺炎を発症して10日後に心不全で父
は亡くなりました。
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